30/d journal

Shop & Atelier

気持ちのいい場所。

ついつい長居をしてしまう、
そんなお客さまが多い
アトリエショップ。
流れるように良いタイミングで決まったと話されるその場所には、
お客さまにとっても、
作家自身にとっても、
なんていい場所なんだろう!
と思える不思議な心地よさがあります。
それは、場所の持つ力だけでなく、
作家の眞砂さんとお客さまとの
コミュニケーションが生み出す
「創造」のエネルギーが満ちているから
かもしれません。


雑司が谷に移ったきっかけは?

眞砂さん

以前は、あるお店の2階を間借りしていたので、そのうち自分で店舗をと、ぼんやりと思っていました。
ひっそりとマンションの2、3階の一室にあるようなところをイメージしていたんです。
でもある日、スパイラルの1階で出店中に、こういう路面店も気持ちがいいなって思っていたら、それから1週間経たないうちに現在の物件に出会いました。


いつも素敵な、いいタイミングで流れてきますね

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眞砂さん

がんばって探すというよりは、流れ着いたという感じでした。
タイミングがよかったですね。
夜にみつけて、次の日の朝には仮契約していました。

現在の場所のお気に入りの点は?

眞砂さん

皆さんが、外を眺めて「気持ちがいいところですね」って言ってくださるんです。それが気に入っています。


居心地がいい空間ですね

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眞砂さん

ありがとうございます。ここ(店内)の椅子に座って「ずーっとこのまま眺めていたい」って言ってくださるので自分も時々座ってみたりしています。視界が開けていて、空が広く見えるのが気持ち良くて。
人通りも多すぎず少なすぎず、アトリエショップにはちょうどよい環境で、たまたま来たわりにはなんていい場所なんだろうと思っています。


鮮度のいい石、
気持ちを込めたものに気づく、
お客さまの不思議な勘。

長居されるお客さまも
多いとのことですが?

眞砂さん

じっくりご覧になりたい方には、お荷物や上着を置いて楽にしていただいてから、ゆっくり選んでいただいてます。
選んでかたちにすることや、たくさんのものが並んでいるなかから、お気に入りを探す時間自体を楽しんでいただきたい、と思っています。
選び疲れたら途中で座ってクールダウンして、お茶でリラックスしていただいてから、またいろいろ探して眺めてから選ばれたり。
お仕事帰りにちょっとお立ち寄りいただいて、次はあれがいいかなと石を試しに組み合わせて遊んで、癒されてからご帰宅される方も。


そういう楽しみかたもあるものなんですね

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眞砂さん

綺麗な色石の組み合わせを見てるだけでもなんだか一緒にワクワクしてくるんです。お客さまも「あぁ幸せ、元気になりました!」って言ってくださるんです。
「これでまた頑張れる」っておっしゃってくださると、私のほうこそ元気をいただきます。
ちなみに長年いらしている方でも、じっくり何度も見ているうちに、かなり以前からあるシリーズを「あら、これは新しい?素敵!」ってその時の気分で見え方が変わってくるみたいです。見たいものが見えてくるんですね、きっと。
それで、気になられたものからまたお話しが弾んだり、つきないですね。
初めてのお客さまにすべてご説明するには、1日では足りないんじゃないかと思うこともあります。
また、半年ぶり、一年ぶりに来た方が、その日の朝に初出しした一粒や、鮮度のいいというか、新しく買い付けてきた石に惹かれるということもよくあるんです。
昨日作って並べたばかりのアクセサリーとか。すごいなぁってびっくりすることも多くて。「勘が鋭いですね」「鼻が利きますね」なんて言ってみたり。
私にもそのときの「お気に入り」みたいなものがあるので、依怙贔屓(えこひいき)しちゃってるのもあるのかな。無意識に、少しいい場所に置いたりしているのかもしれません。
そういう微かな違いや空気をお客さまが敏感に感じ取ってくださることもあるんですね。
それと、同じタイミングで同じものになぜか皆さんが惹かれるということもよくあるんです。
日本のこの四季などが影響していると私は思っているんですけど、老若男女が共通して目に心地よく美しいと思うものや、そのタイミングがあるように感じています。
お似合いになっているのはもちろん、どんな方の目にも心地よく美しく写るもの。
そういうバランスやタイミング、組み合わせを感じて探すことを意識しながら作るのも面白いことの一つですね。 
きっと、私とお客さまの感覚が一致したとき、まるで「お客さまの不思議な勘」のように感じるのだと思います


1+1=2 ではなく、3、4に。
お客さまのご希望を足して、
それ以上のものが生まれる

嬉しかったり、印象に残っているお客さまとのエピソードは

眞砂さん

どれからお話ししたらよいか分からないくらいたくさんのことがあるんですけど、別々にいらしたお客さまがご一緒に盛り上がって選んだりされると、すごく嬉しいですし楽しいですね。


別々にいらしたお客さまが?

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眞砂さん

そうなんです、別々にいらしたお客さまがお互いに選んだり作ったものを見せ合ったりして、相乗効果でお話しが弾んで、というのがよくあるんです。
そこで一人の方が、「これがこうでこうできる?こうだったらいいな」というようなことを私におっしゃって、もう一人の方も「ここをこうしてみたらどうかしら?」と案を出してくださって、私も「それはこうだから、これはできないんですよね・・・。」とお断りしながらお話ししているうちに「いや、ちょっと待ってください・・もしかしたらできるかも!」という感じで、突然ひらめいて、まるでちょっとした発明品のようなアイデアが出てくることがあって。
いつもこんな感じで、一人で集中してる時ではなくて、楽しく皆さんで盛り上がる瞬間にも何かきっかけをいただいたりして、 思いがけない新しいアイデアが生まれたりしますね。それにやっぱり、目の前のお客さまに期待されるとそれにお応えしたくて、あとひと頑張りができるのだと思います。
『エクレクティク』ってもともとは自分なりのフィルターを通して解釈したものを、外に出したいというふうにつけた名前なんです。
ある時いらっしゃったお客さまが、「『エクレクティク』っていい名前をつけたねぇ。【機転が利く】という意味でも使ったりするんだよ」と教えてくださいました。
2つのものを合わせて、1+1=2ではなくて、3とか4になるようなそういうふうな機転の利かせ方というか、それで『エクレクティク』と言うんだよって。
まさにそれは、日々お客さまとのやりとりの中でやりがいに感じていたことだったので、なんていう偶然なんだろう!って。
「eclectic」には取捨選択、吟味する、種々の技法を取り入れる、編集された、かたよらない、などの意味もあるんです。
でもこの場合は、例えば、焼きそばを食べたい人とパンを食べたいっていう人がいて、そこで機転を利かせて「焼きそばパン」っていうどっちの言い分も通った新しい美味しさのものができる、というようなことかなと思うんです。
私が作ったものがあって、お客さまのご希望があって、そこで考えてご提案したものがお客さまの期待されていた以上のものになったとき、それが『エクレクティク』だと感じていただけたらと思うんです。


すごく『エクレクティク』さんらしいお話しですよね

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眞砂さん

もちろん、すべてを思いどおりに叶えられるわけではないんですけどね。身につけるものなので、壊れにくく使いやすいように作ることも大切ですし。
ただ、そういうところも年々経験が積み重なるので、以前できなかったことがある日突然できるようになったりもして、面白いところです。
作っていると、作っている人の中の常識というものができてきますが、お客さまってほどよくそれを壊してくださる。
これからもお客さまのご希望があれば、機転を利かせてひとつひとつかたちにしていきたいと思っています。
思いがけない「焼きそばパン」が生まれるかもしれないですからね。



eclectic エクレクティク

東京都豊島区目白1-7-18
サンライズ目白1F
TEL 03-6914-1510

営業時間 12:00-19:00
月曜定休
http://eclectic-accessories.com

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